引越し時のガス手続き
引越しのガス手続きで最初に押さえてほしいのは、開栓には立会いが法令で義務付けられているという点です。電気や水道のように当日蛇口を開けて完了ではなく、ガス会社の作業員が訪問してガス漏れ検査と点火確認を行います(所要15〜40分)。3〜4月の引越し繁忙期には予約が1〜2週間先まで埋まるため、引越し日が決まったらまずガス開栓予約から動くのが定石です。
もう一つ知っておくと得なのが、2017年の都市ガス小売自由化です。関東・関西・中部の主要都市では地域大手(東京ガス・大阪ガス・東邦ガス)以外の選択肢が増え、電力系・石油元売り系などへの乗り換えが可能になりました。引越しは契約解除手数料がかからない数少ない見直しタイミングなので、料金プランの再検討にも向いています。
このガイドでは、開栓予約のタイミング、都市ガスとプロパンガスの違い、繁忙期と通常期の運用差、世帯規模ごとの目安料金、賃貸・持ち家別の注意点までを順に解説していきます。
ガスの閉栓・使用停止(引越し元)
| 連絡先 | 現在契約中のガス会社(公式サイトまたは電話) |
|---|---|
| 申込期限 | 引越しの1〜2週間前まで |
| 必要な情報 | 契約者名義、お客さま番号(検針票に記載)、使用停止日、引越し先住所 |
| 立ち合い | 原則不要(オートロック等でメーターが屋内にある場合は必要) |
| 料金精算 | 使用停止日までの料金が日割りで精算される |
ガスの開栓・使用開始(引越し先)
| 連絡先 | 引越し先のガス会社(公式サイトまたは電話) |
|---|---|
| 申込期限 | 引越しの1〜2週間前(繁忙期は2〜3週間前推奨) |
| 必要な情報 | 契約者名義、引越し先住所、使用開始日、訪問希望日時 |
| 立ち合い | 必須(ガス漏れ検査・点火確認のため、15〜40分程度) |
| 費用 | 無料 |
ガスの開栓では、作業員がガスメーターを開栓した後、室内でガス漏れ検査と点火確認を行います。契約者本人でなくても、代理人(家族・友人等)の立ち合いで問題ありません。所要時間は15〜40分程度で、費用は無料です。
都市ガスとプロパンガスの違い
| 都市ガス | プロパンガス(LPガス) | |
|---|---|---|
| 供給方式 | 地下の導管(ガス管)で供給 | ボンベで個別配送 |
| 連絡先 | 地域の大手ガス会社(東京ガス等) | 物件ごとの供給会社(不動産会社に確認) |
| 開栓の立ち合い | 必須 | 必須 |
| 会社の選択 | 自由化により選択可能 | 物件で決まっている場合が多い |
引越しのガス手続きタイムライン
開栓は立会いが必須で、その日時の予約取りが手続き全体のボトルネックになります。1ヶ月前から1週間後までの動きをまとめます。
新居のガス供給種別(都市ガス/プロパン)を不動産契約書または管理会社に確認します。都市ガスエリアであれば、地域大手と新規参入会社(東京ガス vs 東京電力ガスなど)の料金比較もこの段階で着手しておくと、3〜4月の予約合戦に追われずに済みます。プロパンの場合は物件で供給会社が決まっていることが多く、選択の自由度は限定的です。
新居のガス会社にWebまたは電話で開栓予約を入れます。3〜4月の繁忙期は1ヶ月以上先まで埋まることが多いため、引越し日が決まったらライフライン手配の中でガスを最優先に。同時に旧居側は閉栓連絡(こちらは立会い不要・Web完結可)。新規ガス会社へ切替える場合は、新会社経由で旧会社の解約も自動的に手配されます。
予約時間にガス会社の作業員が訪問し、(1)メーター開栓、(2)ガス漏れ検査、(3)各ガス器具の点火確認、(4)ガス器具と供給ガス種別(13A/プロパン)の整合確認、を順番に実施します。所要15〜40分。立会いは契約者本人または成人した家族でOK。当日不在で再予約になると、繁忙期は数日〜1週間先送りされる可能性があります。
開栓日から初回検針日までの使用分は「日割り基本料金+従量料金」で計算され、翌月に最終請求書が届きます。プロパンの場合は保証金(ボンベ・調整器のレンタル料)の取り扱いを契約書で確認しておきます。保証金返還条件・解約手数料・ボンベ撤去費は会社ごとに差があるため、引越し前にすり合わせておくと安心です。
引越しを機にガス会社を見直すなら(都市ガスエリア限定)
2017年4月の都市ガス小売全面自由化により、家庭向けでも会社を選べるようになりました。引越しは契約解除手数料がかからない数少ない切替タイミングで、地域大手から新規参入会社への乗り換えで月額500〜1,500円(年間6,000〜18,000円)の節約事例があります。プロパンガスはもともと自由化されているものの、賃貸物件では大家・管理会社が会社を指定する慣行が強く、入居者側で乗り換えしづらい点が違います。
新規参入には電力系(東京電力ガス・関西電力ガス・中部電力Gas Plus)、石油元売り系(出光昭和シェル・コスモガス)、地域大手の越境(東京ガスの関西進出・大阪ガスの関東進出)といった選択肢があります。電気とのセット契約割引(東京ガス「ずっとも電気」、関西電力「はぴeみる電」など)を組み合わせると、ライフライン全体の見直し効果が大きくなります。
プロパンガスは元々自由化済(規制法に類似する公共料金扱いではない)ですが、賃貸物件では大家・管理会社がガス会社を指定する慣行が強く、入居者が自由に選べないケースがほとんどです。料金が割高な場合、契約後に大家経由で会社変更を交渉する余地はありますが、現実的には「物件選びの段階で都市ガスかプロパンか確認」が最良策です。
引越しのガス手続きで起きやすいトラブル
3〜4月の繁忙期は開栓予約が1〜2週間先まで埋まり、引越し当日に間に合わないケースが頻発します。特に小さなお子さま・高齢者のいるご家庭では入浴や調理に直結するため、引越し日が確定したらガス開栓予約を最優先に。電気・水道・ネットは後回しでも問題ないことが多いですが、ガスだけは順番を逆転させない判断が要ります。
都市ガス(12A/13A)とプロパンガス(LPG)はノズル形状・発熱量・必要空気量が異なるため、対応していない器具を使うとガス漏れ・不完全燃焼・最悪は火災につながります。ガスコンロ・給湯器・乾燥機の銘板(背面または底面)で「12A・13A用」「LPG用」の表示を必ず確認してください。種別が違う場合は部品交換(5,000〜20,000円)か買い替えになります。
賃貸の給湯器・ガス警報器は大家所有か入居者所有かが物件によって異なります。「自分で設置した給湯器は持ち運べるか」「警報器の電池交換は誰の負担か」が契約書で不明瞭だと、退去時にもめる原因になります。賃貸契約書の「設備一覧」と「修繕区分」を契約前に確認し、不明点は管理会社に書面で確認しておくと安全です。プロパン物件では給湯器がガス会社の保証金でレンタル設置されているケースもあります。
世帯規模ごとの料金プラン選びのポイント
ガス料金は世帯人数や在宅時間、調理頻度で月額が大きく変わります。引越しを機にプランを見直す際の判断軸を、単身からファミリー、高齢者世帯、法人・店舗まで5パターンで整理しました。
| 世帯 | 月平均ガス使用量 | 料金プランの方向性 | 引越し時の確認項目 |
|---|---|---|---|
| 単身(ワンルーム/1K) | 5〜10m³ | 都市ガスの基本プラン・新規参入の単身向け定額 | 外食中心なら基本料金重視。シャワー中心なら従量料金重視で会社選定 |
| 2人世帯(DINKS) | 15〜25m³ | 電気とのセット割(東京電力ガス・関西電力ガス等) | 共働きで在宅短いなら基本料金低めプラン。セット割で年5,000〜10,000円節約事例あり |
| ファミリー(3〜4人) | 30〜45m³ | 地域大手の従量段階料金・ガス会社系セット割 | 給湯・調理・床暖房同時使用に耐える供給能力。床暖房ありなら冬期使用量が倍増するため、年間契約で見極め |
| 高齢者世帯 | 10〜20m³ | 地域大手の従量電灯+ガス警報器サービス標準付帯プラン | 新電力・新ガス会社のサポート体制が手薄なケースあり。地域大手の見守りサービス(東京ガスのくらし見守りサービス等)の付帯確認が安心 |
| 法人・飲食店舗 | 50m³〜200m³以上 | 業務用ガス契約・大口需要家プラン | 飲食店舗は厨房ガス契約・床暖房・空調などで業務用契約が必要。引越し(移転)はガス導管整備工事の確認も必須 |
繁忙期と通常期で変わる開栓予約の取り方
ガス開栓は立会いが法令で義務付けられているため、電気以上に「予約日時の確保」が手続きの成否を左右します。引越し時期で申込から開栓までの所要日数が大きく変わるので、繁忙期と通常期で動き方を分けます。
開栓予約が1〜2週間先まで埋まるのが常態化します。3月下旬の引越し日に4月中旬の予約しか取れず、その間カセットコンロやコインシャワーで凌ぐ事例も発生します。引越し日が確定した時点でガス開栓を最優先にし、地域大手と新規参入の両方に問い合わせて最も早い枠を確保するのが現実解です。引越し業者の予約取り(こちらも同じく繁忙期)と並行して動かす必要があります。
開栓予約は引越し1週間前でも翌日対応の枠が空いていることが多く、土日祝日の予約も取りやすくなります。料金比較の余裕を2〜3週間とれるため、引越しを機にガス会社を見直すなら通常期が向いています。電気とのセット割の試算も、この時期なら腰を据えて計算できます。
世帯・ガス種別ごとの月額目安
引越しでガス代がどう変わるのかを、世帯規模と都市ガス/プロパンで比較します。下表は2026年4月時点の各社料金表をもとにした月額の目安です。
| 世帯 | 月使用量 | 都市ガス(東京ガス) | 都市ガス(新規参入) | プロパンガス参考 |
|---|---|---|---|---|
| 単身 | 8m³ | 約2,400円 | 約2,200〜2,300円 | 約4,000〜5,500円 |
| 2人世帯 | 20m³ | 約4,800円 | 約4,400〜4,700円 | 約8,000〜11,000円 |
| ファミリー | 35m³ | 約7,800円 | 約7,200〜7,600円 | 約13,500〜18,500円 |
| 大家族・床暖房 | 60m³ | 約12,800円 | 約11,800〜12,400円 | 約22,000〜30,000円 |
※プロパンは料金が完全自由化されているため、上記はあくまで業界平均値。物件・供給会社によって倍以上の差が出ることがあります。引越し物件の選定段階で「都市ガスかプロパンか」を確認すると、年間6万〜15万円のランニングコスト差につながります。
引越し直後の請求書の読み方
引越し直後は旧居の最終請求と新居の初回請求が立て続けに届きます。内訳を理解しておくと、想定外の金額に慌てずに済みます。
退去日までのガス使用分が日割り計算されます。基本料金は「前回検針日〜退去日」の日数比率で按分。プロパンの場合は保証金の返還、または解約手数料・ボンベ撤去費が請求されることがあるので、契約書で事前確認しておきます。クレジットカードや口座振替なら自動引落で完結、現金払いの場合は新住所に払込票が転送されます(郵便転送届を出していることが前提)。
開栓日から初回検針日までの料金が請求されます。検針サイクルは月1回で、開栓日が月の途中なら「開栓日〜次の検針日」分が初回分。Web会員登録すると検針票がペーパーレス化され、月次のガス使用量グラフや前年同月比、契約プランの詳細をブラウザから確認できます。電気とセット契約していれば合算請求書が出るので、家計管理上も追いやすくなります。
賃貸と持ち家で異なる手続きポイント
ガスの閉栓・開栓の流れは賃貸も持ち家も基本的に同じですが、契約者・ガス器具の所有権・退去時の対応に違いがあります。
| 項目 | 賃貸 | 持ち家 |
|---|---|---|
| 契約者 | 入居者本人(原則) | 所有者本人 |
| 給湯器の所有権 | 大家所有のことが多い(退去時に置いていく) | 所有者本人。買い替えも自由 |
| ガス会社選択 | 都市ガスは入居者の自由。プロパンは物件指定が一般的 | 都市ガス・プロパンとも自由(プロパンは事前契約見直し可) |
| 退去時の対応 | 閉栓連絡のみ(撤去工事不要)。ガス警報器は大家所有なら置いていく | 売却の場合は仲介会社にガス契約解除を相談 |
| 開栓立合い者 | 入居者本人または成人した家族 | 所有者または成人した家族 |
主要ガス会社の引越し連絡先
都市ガスをご利用の方は、お住まいの地域のガス会社に連絡してください。
| ガス会社 | 電話番号 | 受付時間 |
|---|---|---|
| 東京ガス | 0570-002211 | 月〜土 9:00〜19:00、日祝 9:00〜17:00 |
| 大阪ガス | 0120-094-817 | 月〜土 9:00〜19:00、日祝 9:00〜17:00 |
| 東邦ガス | 0120-015455 | 月〜土 9:00〜19:00 |
| 西部ガス | 0570-000-312 | 月〜土 9:00〜19:00、日祝 9:00〜17:00 |
プロパンガスは物件ごとに供給会社が異なります。引越し先のガス会社は不動産会社や管理会社、大家さんに確認してください。賃貸物件の場合、ガス会社を自由に選べないことがほとんどです。
申込前に準備しておくもの
ガス会社への閉栓・開栓申込はWeb・電話どちらでも完結します。手元に揃えておくとスムーズなものは次のとおり。
- お客さま番号(検針票・請求書に記載)
- 契約者の氏名と新旧の住所
- 使用停止日と新居での使用開始希望日
- 新居での立会い希望時間帯(午前/午後と具体的な時間)
- 支払い方法(クレジットカード番号または口座情報)
引越し時の電気・ガス・水道 開通受付
引越し先の電気・ガス・水道の開通手続きをまとめてご相談いただけます。担当者より折り返しお電話にてご連絡いたします。
本フォームの対象範囲は、新居の電気・ガス・水道・インターネット等のライフライン開通取次のみです。旧居の停止・解約手続きは現在ご契約中の各事業者へ直接ご連絡ください。補助金の申請代行・申請相談は承っておりません。
- 1 ご相談内容
- 2 引越し情報
- 3 ご連絡先
よくある質問
ガスの開栓に立ち合いが必要なのはなぜ?
ガス開栓時にはガス漏れ検査と点火確認が法律で義務付けられており、作業員が安全を確認する必要があるため立ち合いが必須です。所要時間は15〜40分程度で、費用はかかりません。
引越し当日にガスの開栓予約が取れなかったら?
3〜4月の繁忙期は予約が集中するため、希望日に予約が取れない場合があります。引越しの2〜3週間前に連絡すると安心です。予約が取れない場合はカセットコンロ等で一時的に対応し、最短の日程を確保してください。
都市ガスとプロパンガスで手続きは違う?
基本的な流れは同じですが、連絡先が異なります。都市ガスは地域の大手ガス会社(東京ガス、大阪ガス等)に連絡します。プロパンガスは物件ごとに供給会社が異なるため、不動産会社や大家さんに確認してください。
ガスの閉栓に立ち合いは必要?
原則不要です。退去日までにガス会社に連絡し、使用停止日を伝えれば、遠隔でメーターが閉栓されます。ただし、オートロックマンション等でメーターが屋内にある場合は立ち合いが必要です。
引越しと同時にガス会社を変えられる?
都市ガスエリアであれば、引越し先で別のガス会社を選ぶことができます。ただし、開栓作業は供給エリアのガス導管事業者が行うため、開栓予約は導管事業者に連絡する必要があります。
ガス機器(コンロ・給湯器)はそのまま持っていける?
同じガス種別(都市ガス13A同士など)であれば持参可能ですが、種別が異なる場合はノズル交換または機器の買い替えが必要です。機器側面の銘板で対応ガス種を確認してください。プロパンと都市ガスの間では基本的に流用不可です。
ガス開栓の立会いには誰が同席すればいい?
契約者本人が原則です。本人が立ち会えない場合は、家族または委任状を持った代理人で対応可能なケースもありますが、ガス会社により規定が異なります。事前に連絡時に相談してください。所要時間15〜40分なので、引越し当日のスケジュールに組み込みやすい時間帯を選ぶのがコツです。
開栓時の費用はかかる?
通常の引越し開栓は無料です。ただしガス機器の取付工事(給湯器設置・ガスコンロ接続等)を依頼する場合は別料金(数千円〜2万円)が発生します。プロパンガスは契約時に保証金や設置工事費を求められるケースがあるため、契約前に総額を確認してください。
プロパンガス物件の料金が高い場合の対策は?
プロパンガスは料金が自由設定で物件・供給会社により大きく差があります(都市ガスの1.5〜2倍程度が一般的)。物件選び段階で「都市ガス物件を優先」が最大の節約。すでに入居済みなら「プロパン料金見直し」サービス(エネピ・プロパンガス料金消費者協会等)への相談で乗り換え交渉できます。ただし大家・管理会社の同意が必要です。
引越し前にガス機器を業者に外してもらう必要はある?
ビルトインコンロ・給湯器は基本的に業者依頼。卓上カセットコンロ・据置型ガスコンロは自力で外せます。引越し業者に外しを依頼する場合は別料金(5,000〜15,000円)。賃貸の備付けガス機器は外す必要なし、退去時の閉栓のみ連絡します。
本ガイドの根拠と最終確認
本ガイドは以下の一次情報を基に編集しています。各URLは記載の日付時点で生存確認済です。ガス事業法・都市ガス小売自由化(2017年〜)の制度詳細は資源エネルギー庁の最新情報をご確認ください。
- 資源エネルギー庁「ガスの小売全面自由化」(2026-05-03確認)— ガス小売事業者・自由化の制度根拠
- 各都市ガス会社(東京ガス・大阪ガス・東邦ガス等)公式の「お引越し」ページ — 開栓立会い予約・必要書類
- 各LPガス(プロパン)販売事業者の公式案内 — 戸建て・集合住宅で供給会社が異なる